【2022年最新】ESG世界ランキングの上位5社を解説

近年盛り上がりを見せているESGですが、世界的にどのような取り組みを行っている企業が評価されているのでしょうか。本記事では、ESG世界ランキング上位5社を、具体的な取り組みとともに解説しています。

目次

ESG投資とは

ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の略称です。ESGは、国連が2006年に提唱した責任投資原則(PRI)の中で打ち出され、2015年の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本の機関投資家として初の署名をきっかけに、国内でも広まりました。また、よく使われる用語に「ESG投資」というものがあります。これは、投資において、財務情報のみならず、環境・社会・ガバナンスにも配慮した投資のことを言います。

ESG投資について、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。

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世界で最も持続可能な100社

本記事では、世界経済フォーラム(ダボス会議)で発表されている「世界で最も持続可能な100社(Global 100 Index)」というランキングを採用しました。このランキングは、総売り上げ高10億ドル(約1400億円)以上の上場企業約7000社を対象に、企業が開示している財務報告書やサステナビリティ報告書、ウェブサイトの情報等を踏まえて24のKPIから各社を評価しています。

それでは、実際に上位5社についてみていきたいと思います。

第1位 べスタス・ウィンド・システムズ

1位のべスタス・ウィンド・システムズは、デンマークの風力発電機の世界的メーカーであり、世界の風力発電設備容量の20%を占めるなど、欧米を中心に世界的に事業を展開しています。

同社はサステナビリティに関する実績をサプライチェーンも含めて主要優先事項としている点が評価され、1位を獲得しています。

なお、今後は同社の風力発電機に用いられる鉄鋼製造での脱炭素化促進や、リサイクルが難しい羽根のリサイクル方法の開発と循環型製造の実現等を掲げています。

第2位 クリスチャン・ハンセン・ホールディングス

2位のクリスチャン・ハンセン・ホールディングスは、医薬品やバイオメカニクスを扱うデンマークの企業です。

同社は、収益の約80%をSDGsへの貢献に活用したり、SDGsが掲げる目標のうち目標2「飢餓をゼロに」、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標12「つくる責任 つかう責任」の3つの目標を特定し、環境負荷を軽減した収穫量の拡大や、健康効果があると認定された商品の投入、ヨーグルトの製造工場から出るホエイ(廃棄物)の削減を目標にするなどの取り組みが評価されています。

第3位 オートデスク

3位のオートデスクは、本社を米国に置いており、3D 技術を使ったデザイン・設計、エンジニアリング、エンターテインメント向けソフトウェアのリーディング企業です。

同社は、使用する電気はすべて再生可能エネルギーで発電された電気だけを使用することを表明しているほか、オートデスク基金の設立や、未来のデザイナーの支援、健康管理、温室効果ガス削減、再生可能エネルギー使用、LEED認証取得など様々なESGプログラムを実施している点が評価され、前年の43位から大きく評価を上げ3位にランクインしました。

第4位 シュナイダーエレクトリック

シュナイダーエレクトリックは、エネルギー管理と自動化のデジタルトランスフォーメーションを推進するフランスの企業です。同社は、2050年までに環境に有益な製品の売上高を80%にする、2018年比で8億トンのCO2排出削減、製品材料のうち、環境に良いものの使用率を50%にする、100万人の恵まれない人々にエネルギー管理のトレーニングを行うなどを目標に掲げています。

また、現在はコンサルティング事業を展開し、多くの顧客の持続可能な変革をサポートするといった取り組みが評価されています。同社は11年連続で上位入賞しており、昨年は1位を獲得するなど、同社の継続した取り組みも注目すべき点といえます。

ちなみに、Schneider Electricの最高戦略・持続可能性責任者であるOlivier Blum氏は、以下のようにコメントしています。

「最も持続可能な企業として繰り返しランクインする魔法の公式はありません。すべての人にチャンスを。 それが私たちのモデル、文化、戦略の一部であり、従業員、サプライチェーンパートナー、顧客のエコシステム全体に乗り出す方法の一部であり、私たちの目的を日々達成しています。」

このような姿勢が同社の継続的なランクインを可能にしているのかもしれません。

第5位 シティ・デベロップメンツ

シティ・デベロップメンツは、シンガポールの不動産管理及び開発会社で、40位だった昨年の順位から大きく順位を上げ5位を獲得しました。

同社は、直接運用している、または管理下にある不動産および開発について、2030年までの脱炭素化を目標としており、現在の達成度も数値として開示しています。また、環境への配慮だけではなく、新型コロナウイルスの影響から、2020年に4,000万シンガポールドル(約41億円)を超える固定資産税の還付と賃貸料の救済措置を実施するなど社会課題への取り組みも行っています。さらに、気候変動の取り組みを盛り上げるための気候変動展示会の開催、女性活躍推進を目的とした「Women4Green」の創設といった取り組みの進歩性が評価され、同社は5位を獲得しています。

以上、「世界でもっとも持続可能な100社(Global 100 Index)」の上位5社について見ていきました。

全体として欧米企業が多く、特に北欧の企業の上位ランクインが目立つ結果となりました。ちなみに日本の企業では、積水化学工業(22位)、エーザイ(32位)、コニカミノルタ(53位)の3社がランクインしています。ランクインした数からわかる通り、日本はまだまだ発展途上といえますね。

まとめ

  • ESG投資とは簡単に「ESGに配慮した企業に対して投資を行うこと」をいいます。日本では、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が責任投資原則(PRI)に署名したことをきっかけに広がる
  • 「世界で最も持続可能な100社」のランキングの調査対象は、総売上高10億ドル以上の上場企業約7000社
  • 企業が開示する財務報告書やサステナビリティ報告書、ウェブサイトの情報をもとに24のKPI(重要業績評価指標)から各社を評価
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この記事を書いた人

慶應義塾大学SFC研究所
上席所員 笹埜健斗(ささの・けんと)

社会情報学者。専門は「データサイエンスを活用したSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」。高校時代、生死の境を彷徨い、哲学に目覚める。その後、国際哲学オリンピック日本代表、京都大学法学部卒業、東京大学大学院情報学環・学際情報学府修了を経て、慶應義塾大学SFC研究所上席所員および慶應義塾大学生成AIラボ所員。世界最大級のオンライン学習プラットフォームUdemyにて「サステナビリティ・ESG・SDGs」部門 No.1 講師。年間100回以上の講演会・セミナーに登壇。

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