PR・IR・SRについて聞いたことはありますか?「PR」は「自己PR」や「PR活動」などで耳にしたことがあると思いますが,それと関連する用語としてIR,SRというものがあります。この3つの単語は、企業が関係する人々(ステークホルダー)と接していく方法のことを表しており,投資の場面でも使われる用語たちです。今回は、これらについて担当者が知っておくべき概要を解説していきたいと思います。
PRとは
PRは、Public Relationsの省略形であり、組織とその組織を取り巻く人間との望ましい関係を創り出すための考え方および行動であるとされています。一般に「PR」と聞いたときに想像されるものよりも少し広い意味を含んでいます。
さて、投資の場面においてのPRですが、投資家だけでなく、社会との良い関係づくりを実現するために、テレビや新聞、またネットニュースなどのメディアを介して話題提供をしていくことが重要な仕事となります。
具体的な業務内容は、PR戦略の立案・プレスリリースの作成・クリッピングと呼ばれる自社のメディア露出記録・テレビや新聞と言ったメディアとの関係づくりや取材対応などがあります。また、PR担当者自身がテレビや雑誌などの前面に出て取材を受けることもあります。
また、昨今作成する企業が増えているサステナビリティ報告書は、企業が持続可能な社会の実現に向けて、どのような取り組みをしているかを開示する報告書を指していますが、これはPR活動の一環として考えられます。
近年よくCSR(Corporate Social Responsibility)という言葉を耳にする機会が増えている方もいらっしゃると思いますが、CSRもPRの一環として活用されています。CSRとは「企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任」のことです。CSR活動の報告は広報の際にもよく使用され、代表的な企業を例に挙げるとするとトヨタ車体などが挙げられます。トヨタ車体は、社会貢献活動として日本のさまざまな地域での緑化活動をPRとして載せています。
IRとは
IRは、Investor Relationsの省略形で、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどについて広報するための活動を指します。日本語では「投資家向け広報」と訳されることが多いです。
先程説明したPRとは違い、IRは投資家により直接的にアピールをすることを指します。IRの仕事は上場企業に課せられる情報開示義務に関連した業務などがあります。具体的な業務内容としては、IR方針の作成・投資家とのミーティング・決算説明資料の準備・株価に影響するような大きなニュースに関する公式リリースなどの適時開示などがあります。また、決算や投資家ミーティングのように日常的に行う業務の他に、公募増資などで資金調達を行うときの準備などの重要な仕事にも関わります。
そのため、担当する人は、事業に対する深い理解、会計知識、金融知識、コミュニケーション能力など、幅広い知識とスキルが求められ、PRや経理などのバックグラウンドを持っていて、ある程度ビジネス経験のある人が多くなっています。
PRはほぼ全ての会社が行っていると言っても過言ではないですが、IRに関しては、未上場企業の場合は、年に1回以上の株主総会を行う程度で、あまり本格的なIR活動を行っている企業は少ないです。一方、IR活動を行う義務がある上場しているすべての会社などが有価証券報告書の開示や適時開示を行っています。
また、ベンチャーキャピタルなどの外部資本を調達しているスタートアップの一部などは、報告会などの形態で既存株主に対するIRを行っているケースがあります。
IRの一環として、サステナビリティ報告書があります。サステナビリティ報告書とは、サステナビリティな社会の実現を目指し企業がどのような活動を行なっているかを開示する報告書のことです。
「auひかり」などの固定通信サービスを提供していることで有名なKDDIという企業がありますが、KDDIもIRの一環としてサステナビリティ報告書を作成しています。
SRとは
SRは、Shareholder Relationsの略語です。 先程述べたIRは企業の、投資家に対するコミュニケーション活動であるのに対し、株主と良好な関係を築くための活動をSR活動と呼びます。
実務内容としては、株主からの質問への対応や、株主総会における事案の説明などが対象となり、既存株主に特化した内容となっています。ただ、実際にはこれらの業務はIR業務として一般的に認識されているため、SRという言葉は株主だけを対象に考える時にあえて使用すると言った使われ方が一般的です。
SRの代表的な例として、宝印刷の取り組みが挙げられます。宝印刷は、SRコミュニティを自社のサイトに作成し株主への情報発信に取り組んでいます。
まとめ
- PR(Public Relations)は企業が大衆を含む全てのステークホルダーへの関係構築のための活動
- IR(Investor Relations)は株主や投資家向けへの関係構築のための活動
- SR(Shareholder Relations)は株主と良好な関係構築のための活動