最近「ESG」という言葉を見ることが増えてきたかもしれません。本記事では、近年注目されている「ESG」について分かりやすく意味を解説し、実際の企業の取り組み5事例をご紹介させていただきます。
ESGとは?
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の略称です。ESGは、国連が2006年に提唱した責任投資原則(PRI)の中で打ち出され、2015年の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本の機関投資家として初の署名をきっかけに、国内でも広まりました。
よく使われる用語に「ESG投資」というものがあります。これは短期的に利益を上げることだけではなく、環境・社会・ガバナンスにも配慮した長期的な目線で経営を行っている企業に対して投資をすることを言います。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

続いて、ESGのそれぞれが具体的にどういった内容なのか理解していきましょう。
環境(Environment)
「E」は、おもに自然環境を指しています。これは、企業活動の自然環境への影響、リスクを考慮しなければならないというものです。自然環境への影響というのは、二酸化炭素排出といった消極的な影響だけでなく、環境改善等の積極的な影響も考えなければならないことを意味しています。「持続可能性」という言葉自体が20世紀末に環境問題への懸念から生まれたものであることから、今でも環境、社会、ガバナンスの中で最も多くの企業で取り組まれています。
社会(Social)
こちらでは、男女平等や人種格差、働く環境などの労働問題や人権問題への配慮を指しています。例えば、世界的に有名なメーカーの下請け工場の労働環境が劣悪であるなどの社会課題に対処したり、ブラック企業やセクハラ・パワハラなどを撲滅しようとする取り組みについて指します。
ガバナンス(Governance)
ガバナンスは、主に企業統治を示しています。企業統治は、企業の法令順守や、情報開示といった透明性を確保し、自己管理体制を確立するという意味です。情報漏洩が未然に防げるような体制になっているか、取締役の役員報酬の決定基準などが明確に定められているか、などが「G」の取り組みとして挙げられます。
企業の取り組み5選
ここまで、E・S・Gのそれぞれについて確認していきました。実際に企業が行っている具体的な取り組みについて特徴的なものを一部ご紹介します。
Canon
E:ガスや灯油といった直接的なCO2の排出や電気や蒸気等の間接的な排出、さらにはサプライチェーンにおける排出を2050年に排出量と吸収量を差し引きゼロにすることを目指し、そのために自社のみならず社会全体のCO2削減にも貢献しています。
S:役割給制度の導入:仕事の難易度などに基づく役割等級によって基本給を定め、1年間の業績・プロセス・行動を評価して年収を決定する制度を導入しています。
G:コーポレートガバナンスや知的財産マネジメント等に関する基本方針の策定や、知財人材の育成・支援も行っています。
ANAグループ
出典:https://www.ana.co.jp/ja/jp/
E:客室乗務員などがSDGsバッジを着用することで、利用客のSDGs認知を図っています。また、SDGsに関する社内での階層別研修やセミナー、eラーニングを実施しています。
S/G:グループ全社員が順守すべき「社会への責任ガイドライン」を策定し、人権尊重や法令遵守を宣言しています。
大和ハウス
出典:https://www.daiwahouse.co.jp/
E:環境配慮商品・サービスの開発・普及
S:施工現場での安全教育の実施
G:内部統制委員会の運用リスク情報の収集・運用、内部通報制度、コンプライアンス研修の実施、そのほか多くの取り組み実施
東邦ガス
E:ビオトープを設置することで、地域の希少種、固有種の育成など生態系の保全に取り組む。また、「東邦ガスの森」や里山における森林保全活動、次世代層向け生物多様性学習プログラムなどに取り組む。
S:人材戦略の一環として、脱炭素やデジタル化といった環境変化に柔軟に対応し、変革を推進できる人材を育成するプログラムを実施
JR東日本
E:品川開発プロジェクトにおける環境 ・エネルギー技術の導入,燃料電池や食品廃棄物を活用したバイオガスシステムの導入
S:東京都中学生の職場体験実施
最後に
以上、ESGとはなにか、また企業の取り組み5事例について学んでいきました。ESGは近年急速に広まりつつあり,今後もどんどん発展していく分野です。今後もESGの流れを注視していく必要があるといえるでしょう。