複数のモデルを組み合わせて、より正確な予測を行うことができます。
複数の医者(モデル)に同じ患者を診断してもらうようなものです。
一人の医者(病院)よりも、複数の診断結果を総合した方が、より正確な診断ができるのと同じようなイメージです。
ここでは、「アンサンブル学習」についてさらに詳しく解説いたします。
アンサンブル学習の概要
アンサンブル学習(ensemble learning)は、AIや機械学習において、複数のモデルを組み合わせて予測精度を向上させる技術です。
単一のモデルでは得られない高精度な結果を得るために、異なるモデルや同じモデルを何度も使うことで、予測の精度を上げます。
アンサンブル学習の仕組み
アンサンブル学習では、いくつかのモデル(予測器)を作成し、それらの予測を統合することで最終的な予測を行います。
あるデータに対して複数のモデルがそれぞれ予測を行い、その結果を平均したり、多数決を取ったりすることで、最終的な答えを導き出します。
これにより、単一のモデルの誤りを補完することができ、全体の精度が向上します。
代表的なアンサンブル学習の手法
- バギング (Bagging)
バギングは、元のデータセットからランダムにサブセットを作成し、それぞれのサブセットでモデルを学習させる手法です。
最も代表的なバギングの例が「ランダムフォレスト」です。
ランダムフォレストは、複数の決定木を作成し、その予測結果の多数決を取ることで最終予測を行います。
- ブースティング (Boosting)
ブースティングは、複数の弱いモデル(予測精度の低いモデル)を連続的に学習させ、次のモデルが前のモデルの誤りを修正するようにします。
代表的なブースティングの手法には「勾配ブースティング (Gradient Boosting)」や「XGBoost」があります。
- スタッキング (Stacking)
スタッキングは、異なる種類のモデルを組み合わせる方法です。
決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークなど、異なるアルゴリズムを用いた複数のモデルを組み合わせ、それぞれのモデルの予測を最終モデルに入力して最終的な予測を行います。
アンサンブル学習のメリット
- 精度向上
単一のモデルでは限界がある場合でも、複数のモデルを組み合わせることで予測の精度が向上します。
- ロバスト性
異なるモデルが補完し合うため、データのノイズや異常値に対する耐性が向上します。
- 汎化能力の向上
アンサンブル学習は、過学習を防ぎ、未知のデータに対しても良いパフォーマンスを発揮することが期待できます。
実用例
- 金融業界
クレジットカードの不正利用検出やローンの審査において、アンサンブル学習を用いて高精度な予測モデルを構築しています。
- 医療分野
診断支援システムや画像認識を通じて、病気の早期発見に貢献しています。
- マーケティング
顧客の行動予測や広告の効果測定において、複数のモデルを使った予測が活用されています。
まとめ
アンサンブル学習は、AIや機械学習の精度を大幅に向上させる強力な手法です。
バギング、ブースティング、スタッキングなどの手法を使い、単一のモデルでは達成できないレベルのパフォーマンスを実現します。
AI初心者でも理解しやすい概念であり、実際のビジネスや研究の現場でも広く使われている技術です。