AIの進化は、私たちの世界に革命的な変化をもたらしていますが、同時に未曽有の恐怖も携えています。
例えば、常に話題に上がるディープフェイク。
ディストピア的な監視技術。
はたまた人の手を汚さない自律型兵器といった新たな脅威です。
これらは私たちの社会の根底を揺るがす可能性を秘めています。
こちらの記事では、AIがもたらすこれらの潜在的な危険について、掘り下げ、社会におけるその影響を考えます。
2024年には来るであろう真実とウソの曖昧な境界、プライバシの喪失といった話題に焦点をあてた時にいったい何が見えるでしょうか。
AIの可能性は無限大ですが、その進化に伴うリスクを見過ごすわけにはいきません。こういった事実は私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。
ディープフェイクの台頭で真実と虚偽の境界が曖昧に
人工知能の急速な進歩は、ディープフェイクという新たな形態のメディアを生み出しました。
ディープフェイクは、高度なAIアルゴリズムを使用して、実在には存在しないものや人がリアルに見える画像やビデオを作成する技術です。
この技術は現実とウソの区別を曖昧にして、誤情報や偽ニュースの拡散に悪用される危険性を秘めています。
例えば、いくつかの音声として、その音声とそっくりなサンプルを作り、発していない言葉を発する。
元の動画から口元を加工し、別のことを喋っているように見せかけるなどです。
ソーシャルメディアプラットフォームは、AIアルゴリズムを使用してユーザーのフィードに関連コンテンツを表示しますが、これが害悪で不正確なコンテンツのフィルタリングに失敗し、ユーザーを誤解に導くことにつながっています。
これらのAI技術を利用した偽の画像やビデオ、AIボイスチェンジャー、ディープフェイクによって、政治や社会における真実の情報がますます判断しにくくなっています。
技術の発展が悪意のある行為者が容易に誤情報や戦争プロパガンダを拡散を助けてしまい、今後は信頼できるニュースと誤情報を区別することがほぼ不可能になる恐れがあります。
「もはや何が現実で何がそうでないのかわからない」というのが、この状況を最もよく表しています。
歴史的には信頼されてきた証拠にももはや頼ることができなくなりそうです。このようにして、ディープフェイクは私たちの信頼と認識を根底から揺るがす可能性を持っているのです。
さらに日本では2023年11月頃、岸田総理大臣を題材にしたAI生成のフェイク動画がSNSで広まり、大きな騒動となりました。
この動画は、実際のニュース番組のようなフォーマットを使い、岸田総理が不適切な言葉を発しているかのように偽装されています。声や口元の動きはAI技術によって加工され、リアリティを持たせていまそた。
この偽動画の拡散は、まさに社会におけるディープフェイク技術の危険性を改めて浮き彫りにすることとなりました。
動画の元素材となったニュース枠をもつ日本テレビはこの動画に対して抗議の声を上げ、政府関係者からも民主主義の基盤を脅かす行為としての懸念が表明されています。
この事件は、ディープフェイク技術がどのようにして社会的、政治的な混乱を引き起こし得るかを示す一例です。
今後はもっと巧妙で危ないギリギリのラインの動画が氾濫することでしょう。
AIによって作成される偽の映像や音声は、現実との区別が困難であり、真実の情報を見極めることを一層難しくしています。
特に公人やメディアを標的にしたフェイク動画は、誤情報の拡散や信頼性の低下を招き、公共の場における議論や意思決定に影響を及ぼす可能性があります。
ディープフェイク技術の進歩と共に、これらの問題への適切な対処と意識が求められていきます。
プライバシーとセキュリティの危機と監視技術の広がり
現代社会において、AI技術は監視とセキュリティの分野で急速に進化していますが、これには深刻なプライバシー侵害のリスクが伴います。
特に、顔認識技術の普及は、個人の自由とプライバシーの保護に関して重要な問題を提起しています。
中国では、顔認識技術がオフィス、学校、その他の公共スペースで広く使われており、政府による市民の監視とデータ収集が行われています。
この技術により、個人の行動、関係、さらには政治的見解までもがモニタリングされる可能性があります。これは、個人のプライバシーの侵害に留まらず、国家による監視社会への一歩とも見なされています。
事件発生時に警察組織が迅速に対応できる反面、普段の個人のプライバシー監視が厳しくなるというのが非常に難しい問題です。
アメリカでは、警察署が犯罪予測アルゴリズムを利用し、犯罪が発生する可能性の高い地域を予測しています。
しかし、これらのアルゴリズムは逮捕率に基づいているため、特定のコミュニティに不釣り合いな影響を与えることがあります。こうした影響は結果として過剰な監視や取り締まりにつながっています。
このような状況は、民主主義社会において、AIが権威主義的な武器に変わる危険性を浮き彫りにしています。
このようにAIによる監視技術の進歩は、技術的な側面だけでなく、倫理的な問題も含めて、私たちが直面する複雑な課題を示しています。
個人のプライバシー保護と安全性の確保のバランスをどのように取るかは、今後のAI技術の発展において中心的な議論となるでしょう。
AIによる偏見と不平等と社会的な影
AIの急速な発展と同時にAIに内在する偏見が新たな社会的な問題を引き起こしています。
AIシステムは、その設計やトレーニングに使われるデータに基づいて何らかの判断を下しますが、このデータが偏っている場合、AIの判断にも偏りが生じることが研究により明かされています。
例えば、人事の採用プロセスにおいてAIが顔認識や声の分析を通じて候補者の特性を評価する際、そのアルゴリズムに人種的な偏見が組み込まれている可能性があります。
これにより、特定の民族や性別に対する差別的な採用慣行が再生産される恐れがあります。
さらに、音声認識システムが特定の方言やアクセントを理解できない場合、これもまた一種の偏見となり得ます。
また、AIの偏見は刑事司法システムにおいても大きな問題です。
犯罪予測アルゴリズムが特定の地域や人口集団に対して不公平な判断を下すことがあり、結果として不当な治安対策や判決につながる可能性があります。
これは、すでに存在する社会的な偏見をAIが濃色してしまうかもしれないという可能性を示しています。
これらの問題は、より公平で差別の少ないAIシステムを構築するために知っておかなければいけない事例です。
AIの偏見というのは技術的な問題ではなく、我々が社会通念上、持ち合わせてきた常識のようなものの具現化です。
今後人間とAIが共存しえ行く上で、この点を避けていくのは非常に困難と言えるでしょう。
ただし、AIは既に自己学習が可能という実験結果も上がっている為、もし善なるAIが創り出せれば、そのAIが秩序の大部分、ベースを作る時が来るかもしれません。
自律型兵器 AIの軍事利用とそのリスク
最後に、もはやSFの話ではなくなってしまった軍事利用のケースについて触れます。
現代の戦争では、自律型兵器システムの使用が近い将来実現される可能性が高く、反面AIによる戦争のリスクは未だ十分に研究されていないとされています。
これらの兵器や軍事AIの広範な応用は、大国間の戦争、核安定性、AI安全性など、さまざまな問題のリスクを高める可能性があります。
これらのリスクは、数百万人、場合によっては数十億人の命を奪う可能性があり、最悪のシナリオでは人類の絶滅や回復不能な損失につながることもあると予想を立てる専門家もいます。
しかし、国連での議論にもかかわらず、軍事AIに関する国際的な禁止や規制は短期間には実現しそうにありません。
各国は軍事AI技術の開発を進めており、人を介さないAIを搭載した兵器の導入が秒読みされる一方で、セキュリティリスクなど、機械ならではの悩みも持ち合わせています。
非人道的なことも行えるようにチューニングされる可能性があるとするならば、自律型兵器システムの使用とそのリスクに関する深刻な議論と適切な対応策が、今後の平和と安定のために不可欠で性急にやらねばならない最優先課題なのかもしれません。。