飛躍的にAIの解答精度とクオリティが向上するとして注目を浴びた構文「水平思考を用いて」ですが、実際にはどの程度変るのでしょうか。
また、必ず生成結果は良くなるのでしょうか。
こちらの記事では実際に水平思考を用いた文章の出し分けを行い、内容のチェックを行っています。
必ず使った方がいいのか、それとも場面によるのか。
実際に確かめてみてください。
水平思考を用いるプロンプト
「水平思考を用いてタスクを行ってください。」
この一言を付けるだけでクオリティの高い反応を得られると言われています。
しかし、一言付け加えるだけでどれだけ違うのかが疑問なので、実際に試してみましょう。
今回は「コーヒーのキャッチコピーを作成する」というタスクを与えてみました。
今から二つの命令を同時に出します その二つの命令を同時に行ってください 1. コーヒーを売り出すためのキャッチコピーを5つお願いします 2. コーヒーを売り出すためのキャッチコピーを水平思考を用いて5つお願いします
このプロンプトの違いは「水平思考を用いて」を用いてが入っているかどうかです。創作結果と家庭を調べる為なるべくシンプルな命令にしました。
果たしてどのような返答が来るでしょうか。
了解しました。まず、通常のコーヒーのキャッチコピーを5つ、その後、水平思考を用いたコーヒーのキャッチコピーを5つ作成します。 通常のコーヒーのキャッチコピー 「一日の始まりを豊かに。あなたのためのプレミアムコーヒー」 「深い味わい、新たな一歩。私たちのコーヒーで一日をスタート」 「コーヒー一杯で世界が変わる。あなただけの特別な時間を」 「香り高く、心地よいひと時。最高のコーヒーでリラックス」 「毎日のルーティンを特別に。上質なコーヒーで豊かな朝を」 水平思考を用いたコーヒーのキャッチコピー 「冒険を始めよう。あなたのカップから始まる新しい世界」 「コーヒーが語る物語。一杯の中に隠された無限の可能性」 「美味しさの先にあるもの。コーヒー一杯で心の旅へ」 「コーヒーとともに、あなたの未来を描く。一杯で夢が広がる」 「一杯の中の宇宙。深い味わいで新しい発見を」 どちらもコーヒーの魅力を伝えるために工夫したキャッチコピーです。通常のキャッチコピーはコーヒーの味わいや効果を強調し、水平思考を用いたものはより創造的で想像力を刺激する内容になっています。
どちらも初稿としてはそこそこ頑張っているように見えますね。
通常のキャッチコピーでは時間に関するフレーズで、生活に触れるようなキャッチコピーを用意しようとしたように見受けられます。
水平思考を用いたキャッチコピーでは空間や可能性、夢といったフレーズを連想させています。
しかし残念なことに、単純にコーヒーを売り出すだけであれば、どこを見てるかわからない水平思考のポエムじみたキャッチコピーより通常のキャッチコピーの方がよさそうです。
両者に違いや傾向が明確に見られる為、別の答えを探すという意味ではよいアプローチに見えます。
そこで次は「それぞれではどのような思考プロセスが発生し、結果的に違いが生まれましたか?」と聞いてみました。
それぞれのキャッチコピーの思考プロセスは異なり、それが結果として異なるキャッチコピーを生み出しました。 通常のキャッチコピーの思考プロセス 製品の特徴強調:コーヒーの品質、味わい、香りを強調します。 消費者の日常に焦点:朝のルーティンやリラックスする時間など、消費者の日常生活にコーヒーがどのように溶け込むかを考えます。 感情的なコネクション:コーヒーを飲むことによる快適さや幸福感を喚起します。 シンプルで覚えやすい:簡潔で響きの良い言葉を選び、消費者に印象を残します。 水平思考を用いたキャッチコピーの思考プロセス 非伝統的な連想:コーヒーをただの飲み物ではなく、冒険や物語、未来の象徴として捉えます。 創造性と想像力:一杯のコーヒーから広がる無限の可能性や新しい発見を想像させるような表現を使用します。 感情的な影響を超えて:コーヒーの味わいや効果を超えて、人々の心や想像力に訴える内容を考えます。 独創的で挑戦的な言葉選び:通常のキャッチコピーとは異なる、新しい視点や意外性を持たせた言葉を選びます。 通常のキャッチコピーは製品の直接的な特徴や利点を強調するのに対し、水平思考を用いたキャッチコピーはより抽象的で創造的なアプローチをとり、コーヒーの新しい側面や可能性を探求します。これにより、異なるタイプの消費者へのアピールや、製品に対するユニークな視点を提供することができます。
それぞれ4つの工程から生み出されているとのこと。
例えば1つ目はそれぞれ「品質・味わい・香り」から入っているのに対して「冒険・物語・未来」としてコーヒーを捉えているのが興味深いです。
より抽象的で創造的なアプローチをとると宣言している通り、ややメンタルに訴えかけているともいえるプロセスを取るのが水平思考の特徴の様です。
もちろん思考順が必ずこの順番で実行されるわけではなく、重要視される内容もランダム性を用いるため都度変ります。
しかし、ポエムの様な情緒を取りいれたい場合は水平思考が有効かもしれません。
実際に水平思考では何が重視されているのか?
良い悪いということはともかく、水平思考を使うとやはり趣の違った答えが生成されるということがわかりました。
実際には水平思考では、主に次の要素が重視されます。
- 創造性と革新:従来の考え方や解決策にとらわれず、新しいアイデアや視点を模索します。これにより、予期せぬアイデアや解決策が生まれる可能性があります。
- 連想と想像力:関連性が直接的でない要素や概念を結びつけることで、新たなアイデアを生み出します。例えば、コーヒーと冒険を結びつけることで、独特なキャッチコピーを考えるなどです。
- 柔軟な思考:物事を多角的に見る能力を重視します。固定観念に囚われず、さまざまな可能性を探ることで、新しい発見やアプローチが見つかることがあります。
- ルールや枠組みからの脱却:従来のルールや標準的な枠組みから離れて考えることで、制約に縛られないアイデアを生み出します。
これらの答えはいつGPTに問いかけてもおおよそこういった内容が返ってきます。
水平思考は、特に困難な問題を解決する際や、創造的なプロセスが必要な場合に有効とされており、思わぬ抜け道を発見することの手伝いになる可能性もあります。
新しいアイデアを積極的に生み出すうえではより必要な政策であると言えるでしょう。
水平思考は積極的に使わせるべきか?
水平思考を用いた構文を積極的に使うかどうかは、その目的や状況によります。
例えば以下の点を考慮するとより良い生成を得られるでしょう。
積極的に使用する場合
- 創造的なアイデアが必要な場合:新しい製品の開発やマーケティング戦略、アートプロジェクトなど、創造性が求められる状況では、水平思考は新たなアイデアや解決策を生み出すかのうせいがあります。ただし、AIに引っ張られすぎてはいけません。
- 問題解決に行き詰まった時:従来のアプローチがうまくいかない複雑な問題に直面した場合、水平思考は新たな視角を提供し、解決への道を開くかもしれません。詰まったら使ってみましょう。
- 革新的な思考が求められる場合:業界や市場での競争優位を確立したい場合、既存の枠を超えた思考が必要です。水平思考は、他とは違う独自のアプローチを生み出すのに役立ちます。オリジナリティはいつも大事というわけですね。
慎重に使用する場合
- 明確で具体的な答えが必要な場合:例えば、財務報告や法的な文書など、具体性と正確性が重要視される場面では、水平思考よりも垂直思考(従来の論理的思考)が適しています。
- 混乱を避ける必要がある場合:チームや組織内で明確な方向性や意思決定が求められる場合、あまりにも創造的で非伝統的なアプローチは混乱を招くことがあります。今回のコーヒーなどはあまりいい例とはなりませんでしたね。
- 効率が重視される状況:限られた時間内で結果を出す必要がある場合、既知の方法や確立されたプロセスの方が効率的です。無駄を排除する方がAIもすっきりとした答えが出せます。
総合的に言うと、水平思考は創造的なアイデアや新しい視点が必要な場合に非常に有効ですが、堅実なアイデアを必要とする場合はその限りではありません。
特に今回のコーヒー売り出しのような文章では読み手(消費者)に訴えかけが必要で、コーヒーを未来や宇宙に連れていかれても困るということですね。