【事例紹介】カカクコムが選んだAIプラットフォームDifyとは?企業のAI活用を加速する理由

多機能AIプラットフォームDify  カカクコムが選んだAIプラットフォームDifyとは?企業のAI活用を加速する理由 AI_事例
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AI技術の進化に伴い、企業が求めるのは迅速かつカスタマイズ可能なAIソリューションです。
そんなニーズに応えるのが、オープンソースでノーコード対応の『Dify』。本記事では、その機能や導入事例を通じて、Difyがどのように企業のAI活用を加速させるのかを詳しく解説します。

Difyとは:AIアプリケーション開発の革新的プラットフォーム

Difyは、多様なAIアプリケーションを自社環境で開発できる革新的なオープンソースプラットフォームです。特にチャットボットの構築に強みを持ちますが、その機能はそれだけにとどまりません。

Dify:https://dify.ai/jp

Difyの主な機能と特長

多様なAIアプリケーション開発

  • チャットボット:カスタマーサポート、社内Q&Aなど
  • テキスト生成:コンテンツ作成、レポート自動生成
  • データ分析:ビジネスインテリジェンス、予測分析
  • 画像認識・生成:商品識別、デザイン補助

ノーコード開発環境

  • プログラミング不要で高度なAIアプリケーションを構築可能
  • 直感的なUIでAIワークフローを設計

セキュリティ強化

  • Difyはローカル環境での使用が可能で、機密情報の保護に有効
  • オフライン環境での使用も可能

多様な言語モデル(LLM)対応

  • GPT-4、GPT-3.5、Claude、Cohereなど、複数のLLMを切り替えて使用可能
  • タスクに最適なモデルを選択し、コスト効率を向上

柔軟なインテグレーション

  • 既存のシステムやツールとの連携が容易
  • APIを通じて外部サービスとのデータ交換が可能

コスト効率の良い料金体系

  • 初期導入やテスト段階での無料プランを提供
  • スケーラブルな料金体系で、成長に合わせた利用が可能

日本語対応

  • 日本企業や日本語コンテンツに特化したアプリケーション開発が容易

オープンソース

  • コミュニティによる継続的な改良・改善で、透明性と信頼性が高い
  • カスタマイズや拡張が自由に行える

直感的で使いやすいDifyのUI解説

次に、実際のユーザーインターフェース(UI)を見てみましょう。
Difyの大きな強みの一つは、その使いやすさにあります。
AIアプリケーション開発の複雑さを感じさせない、直感的なUIデザインは、技術者でなくても容易に操作できるよう設計されています。
Difyのダッシュボード上の主要な機能を紹介します。

Dify dashboard

御覧の通り、実にさっぱりしています。

ダッシュボードの各機能

左サイドバー:

上部メニュー:

  • 探索: ダッシュボード内でアプリや設定を探索する機能。
  • スタジオ: アプリケーションを設計・開発するためのエリア。
  • ナレッジ: アプリケーションの使用状況やパフォーマンスを分析するためのツール。
  • ツール: その他のツールやオプション。

アプリ作成ウィンドウ:

  • アプリのタイプを選択: 作成するアプリのタイプを選択します。
    チャットボット: ユーザーと対話するチャットボットを作成する。
    テキストジェネレーター: テキスト生成に特化したアプリを作成する。
    エージェント: 特定のタスクを実行するエージェントを作成する。
    ワークフロー: 複数のステップやアクションを含むワークフローを作成する。
  • アプリアイコンと名前: 作成するアプリのアイコンと名前を設定する。
  • 説明: アプリの説明を入力するフィールド。

製作手順

  • アプリのタイプを選択: チャットボット、テキストジェネレーター、エージェント、ワークフローのいずれかを選択します。
  • アプリのアイコンと名前を設定: アプリに適切なアイコンと名前を付けます。
  • 説明を入力: アプリの概要や目的を説明するテキストを入力します。
  • 作成するボタンをクリックしてアプリを作成します。

普段あまりアプリ作成等になじみがない場合、まずは、チュートリアルを確認し、チャットボット等をつくってみると親しみやすいです。

Difyのチュートリアルで詳しい手順が紹介されているので、まずはここを眺めてみると、安心して挑戦できそうです。

アプリ作成 | Dify

このようにDifyは、複雑なAIアプリケーション開発を、誰でも簡単に行えるよう設計されています。直感的なUIと豊富な機能により、ユーザーは迅速にアイデアを形にし、効率的にAIソリューションを構築することができます。
次に、使いやすい、導入障壁が低いと言われているDifyを実際にどのように企業内で活用し浸透させていくのか、という具体的事例を見ていきましょう。

カカクコムでのDify導入事例:全社的なAI活用の取り組み

カカクコムは、「価格.com」や「食べログ」など、多くの人々に利用されるサービスを提供する企業です。
同社が全社的なAI活用プラットフォームとしてDifyを選択した背景と、その具体的な活用事例をご紹介します。

カカクコム社のDify導入の背景

全社的なAI活用の加速の方針が明確に

全社方針説明会ではCTOより下記の方針が明確に打ち出された。

  • CTOからのメッセージ:スピード:プロダクト開発を圧倒的に速くする
    ・そのための施策として生成AIの活用をより加速させるためのプラットフォーム導入が明言された

  【既存の課題】

  • AIエンジニアの不足:相談件数に対して対応できるエンジニアが不足
  • 開発時間の長さ:PoCで良い結果が出ても、システム開発に時間がかかる
  • 運用負荷:個別にシステムをリリースすると、運用対応に時間を取られる

なぜカカクコムはDifyを選んだのか

なぜカカクコムはDifyを選んだのか。ブログの資料では下記のようにまとめられいます。

  • コスト効率:他サービスと比較して大幅にコストを抑えられる※コスト比較表参照
  • 自社環境構築:セキュリティを考慮し、自社環境に構築可能
  • 柔軟な課金体系:ユーザ数ではなく、API利用頻度に応じた課金
  • モデル選択の自由:コストコントロールが可能

    コスト比較表

Dify全社導入に向けた活用戦略

カカクコムでは、生成AI導入について全従業員をターゲットとし、明確にレベル分けし、レベルに応じて定義し段階的に活用深度を深めていく事を打ち出しています。

レベル1:社内ChatGPTとしての利用(汎用的なチャットBOTの提供)
ユースケース:文章・資料の作成/編集/添削/情報収集/整理/アイデア出し/整打ち
レベル2:社内GPTsとしての利用(特定用途に特化したアプリの社内共有)
ユースケース:社内情報の問い合わせ/食べログ記事作成支援機能の水平展開
レベル3:高度な生成AIシステムの開発(他システムとの統合)
ユースケース:レベル2のタスクをシステム化

カカクコムでのDifyの具体的な活用事例

具体的なプロジェクトや業務効率化の事例を通じて、Difyがどのように役立っているのかを紹介します。

食べログ 店舗紹介記事の作成支援

  • 既存システムからDifyアプリへの移行をトライアル
  • 開発期間:1ヶ月 → 1日に短縮
  • 担当エンジニアのコメント:
    • Difyの標準機能で既存システムの機能をカバー
    • 本番システムの管理コストと新モデルへの追従コストの軽減が期待できる

価格.com 製品情報登録作業の自動化(トライアル段階)

  • 概要:型番情報を元に、製品の公式ページからスペック情報をまとめる
  • プロトタイプ作成:Difyのワークフローで3時間で作成
  • 現状の抽出精度(スペック正解率):58%
  • 担当エンジニアのコメント:
    • プロトタイプを迅速に関係者に試してもらえる
    • 非エンジニアの専門家とのプロンプト改善協力が容易

カカクコムが評価するDify導入によるメリット

  • 開発速度の向上:既存システムのDifyへの移行が迅速に行える
  • コスト削減:管理コストや改修コストの軽減
  • 柔軟性:新しいモデルへの追従が容易
  • 協業の促進:非エンジニアとの協力がしやすい環境の実現

カカクコム社でのDify導入の今後の展望

カカクコムでは、Difyを通じて生成AIの活用をさらに加速させる計画です。プロジェクトを進める中で得られた知見やノウハウを今後も共有していく意向を示しています。

カカクコムの事例は、Difyが単なるチャットボット構築ツールではなく、企業全体のAI活用を促進する包括的なプラットフォームであることを示しています。開発速度の向上、コスト削減、柔軟な運用、そして部門を越えた協業の促進など、Difyの導入が企業にもたらす多面的な価値が明確に示されています。

この事例は、他の企業がDifyを導入する際の参考になるだけでなく、AIの実践的な活用方法を考える上でも貴重な洞察を提供しています。Difyの柔軟性と拡張性が、企業のニーズに合わせた多様なAIアプリケーションの開発を可能にしていることが明確に示されています。

Difyの高度機能:RAG検索とWebサイトへの簡単な埋め込み

Difyは、企業がAIを活用する際に役立つ多彩な機能を備えています。特に、企業のデータ活用をより効果的にするための高度な機能が魅力的です。その中でも特に注目したいのが、「RAG検索機能」と「Webサイトへの埋め込み機能」です。これらの機能を活用することで、より正確な情報の提供や、Webサイト上でのAI活用を簡単に実現できます。。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)検索機能

RAG(Retrieval-Augmented Generation)検索機能は、文書内の情報を検索し、その検索結果を基にAIが生成するコンテンツを強化する技術です。この機能により、AIがユーザーに提供する情報の精度と関連性を高めることができます。

  • チャンク設定: 文書を適切なサイズに分割し、検索対象の範囲を絞ることで、検索結果の精度と効率を向上させます。
  • 検索設定: 最適な検索クエリを設定することで、必要な情報を迅速かつ高精度に取得可能です。

Webサイトへの埋め込み

Difyで作成したチャットボットは、簡単にWebサイトに埋め込むことができます。

HTML内に数行のコードを追加するだけで、Difyで作成したチャットボットを簡単にWebサイトに埋め込むことができます。また、ノーコードツールに対応しているため、プログラミングの知識がなくても容易に統合可能です。さらに、Chrome拡張機能を利用することで、Webサイト内の任意のページからワンクリックでチャットボットを呼び出すことができ、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

Difyと他のAIプラットフォーム比較:何が違うのか?

企業がAIプラットフォームを選定する際には、コスト、機能性、セキュリティ、カスタマイズ性など多岐にわたる要素を考慮します。Difyはこれらの要件に対し、他のAIプラットフォームとどのように差別化されているのか、具体的に見ていきましょう。

カスタマイズ性と柔軟性

Dify

Difyの大きな特徴は、複数の大規模言語モデル(LLM)に対応しており、企業のニーズに応じて最適なモデルを選択できることです。例えば、GPT-4、Claude、Cohereなど、様々なモデルを試してコストや性能のバランスを最適化できます。さらに、オープンソースのプラットフォームであるため、特定の業務フローやデータ処理に合わせて、カスタマイズや拡張が自由に行えます。

他のプラットフォーム

一方、他の多くのAIプラットフォーム(例:OpenAI GPTs)は、特定のモデルに依存していることが多く、カスタマイズの自由度が制限されています。これにより、企業が抱える個別の課題に対して柔軟に対応するのが難しい場合があります。また、クローズドなプラットフォームである場合が多く、機能の拡張やカスタマイズが困難な点も課題です。

セキュリティとデータ保護

Dify

Difyはローカル環境での利用が可能であり、機密情報を社外に出すことなく、社内で完結したAIアプリケーションを運用できます。これは、特にセキュリティが厳重な業界や法規制のある業種において大きなメリットです。また、オフライン環境でも使用可能で、インターネット接続の制限がある環境でも安心して導入できます。

他のプラットフォーム

多くの他のAIプラットフォームはクラウドベースのサービスとして提供されており、データが外部のサーバーに保存・処理されることが一般的です。このため、セキュリティ面での懸念が増し、特に高度な情報セキュリティを求める企業にとってはリスク要因となり得ます。

コスト効率とスケーラビリティ

Dify

Difyはスケーラブルな料金体系を採用しており、ユーザー数ではなく、API利用頻度に応じた課金モデルを提供しています。これにより、初期導入コストを抑えつつ、ビジネスの成長に合わせて柔軟にコストを調整することができます。また、オープンソースであるため、ライセンスコストを抑えた運用も可能です。

他のプラットフォーム

多くの他のプラットフォームはユーザー数ベースの課金モデルを採用しており、企業規模の拡大に伴ってコストが急増する可能性があります。また、特定の機能を利用するために追加の費用が発生することも多く、コスト管理が複雑になることがあります。

結論

これらの要素を総合的に考慮すると、Difyはカスタマイズ性、セキュリティ、使いやすさ、コスト効率の面で他のプラットフォームに対して優位性を持つことがわかります。企業がAIを活用する上で、どのようなプラットフォームを選ぶかは重要な決断です。Difyは、その柔軟性と多機能性によって、多様なニーズに応える選択肢として強力な候補となるでしょう。

Difyの未来:AI活用の新たな可能性を開くプラットフォーム

Difyは、以下のような特徴を持ち、今後のAI活用において非常に大きな可能性を秘めています:

  • セキュリティ優位性: Difyはローカル環境での運用が可能で、企業が扱う機密情報を社外に出すことなく安全に管理できます。よって特に高度なセキュリティが求められる業界でも利用の可能性が高まります。
  • 多様なLLM対応: DifyはGPT-4をはじめ、Claude、Cohereなど複数の言語モデルに対応しており、企業のニーズに応じて最適なモデルを選択できます。これにより、AIソリューションのコスト効率と性能が最大化されます。
  • 柔軟なカスタマイズ: オープンソースの利点を活かし、企業特有のニーズに応じたカスタマイズや拡張が容易に行えます。Difyはその拡張性により、業種や規模に対して柔軟な適応が可能です。
  • コスト効率: DifyはAPI利用頻度に基づいた柔軟な課金モデルを採用しており、初期導入コストを抑えつつ、企業の成長に合わせたスケーラブルな運用を可能にします。
  • 使いやすいUI: Difyの直感的なインターフェースは、AIの利用が初めてのユーザーでも容易に操作できるよう設計されており、企業内での導入がスムーズに進められます。

セキュリティや柔軟性を重視する企業にとって、Difyは魅力的な選択肢となり、今後のAI開発・導入の新たな標準となる可能性を秘めています。