アルトマン解任劇は誰が主導したのか?時系列と推測

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サム・アルトマン元CEOのOpenAI解任に関する情報は複数の報道やX(Twitter)の関係者ポストから見てとれ、様々な推測が飛び交っています。

こちらの記事ではこれまでに判明しているアルトマン氏の解任に関する背景情報をまとめています。

関連記事3:CEO復帰絶望からの離職署名730筆突破へ→

関連記事2:アルトマン氏復帰絶望、シアー氏CEO就任へ→

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OpenAI アルトマンCEO解任騒動の時系列の確認

まず、ここまでの時系列を確認していきましょう。

11月16日
イリヤ・スツケヴァー氏はサム・アルトマンCEOとの通話を希望。

11月17日
グレッグ・ブロックマン氏に解任処分。
ブロックマン氏が取締役会会長の任を解かれます。

アルトマンCEOの解任。

マイクロソフトが声明を発表
サティア・ナデラCEOから声明が発表されます。

ブロックマン氏が正式に辞任を表明。

更にOpenAIの中核エンジニアが離脱。
この時の離脱は3名と報道されています。

11月18日
OpenAIの資金が危機に。
株価急落の恐れが出たため、売りに出るのではないかという憶測が飛び交います。

アルトマン氏が新たな事業計画をポスト。

投資家は絶望して、アルトマン氏の復帰を希望するポスト。

取締役会が辞任し、アルトマン氏とブロックマン氏が復帰する可能性が高いとの報道が出る。
この時の報道は結局実現しませんでした。

11月19日
アルトマン氏がOpenAI本社に出向き会談。
なおその時の写真は、Guestカードになっています。

取締役会の交渉は行き詰まり。
結局この交渉は破談になったということになります。

アルトマン氏の離脱を受け、エメット・シアー氏をCEOとしてジョイン。

11月20日
ナデラMicrosoftCEOからアルトマン氏、ブロックマン氏をはじめとするエンジニアチームの席を作ったとポスト。
大株主であるMicrosoftから救済措置が取られました。

スツケヴァー氏がアルトマン氏解任を後悔しているポストが投稿される。

従業員770人中730までがアルトマン氏、ブロックマン氏の復帰を望む署名に参加。
これにはCTOであるムラティ氏、スツケヴァーの名前も含まれており、取締役会が責任を取らなければ、署名者は退職の意向が書かれています。

取締役会は何故勝手に解任できた?

OpenAIの株を49%保有するMicrosoftの合意を得ずに、なぜ取締役会は突然アルトマン氏を解任できたのでしょうか。

実はそれにはOpenAIの奇妙な会社構造があります。

OpenAIは、

非営利を概念とする親会社OpenAI,Inc.

営利団体で子会社に当たるOpenAI GLOBAL,LLCから成っています。

子会社は親会社から開発などの仕事を委託されているような体裁ですが、実際の権利と権限は全て親会社が握っています。

そして、今回取締役会が所属しているのは非営利団体の親会社。

Microsoftが出資しているのが子会社なのです。

権利権限は全て親会社、さらに取締役会が絶対的な上位であり、法律的にも正しいため、取締役会の半数が解任に同意してしまえばアルトマン氏の解任であろうと、ブロックマン氏の解任であろうと成立してしまうわけです。

また、取締役会で解任に同意したのは下記の4人とされています。

チーフサイエンティスト:イリヤ・スツケヴァー
独立取締役:アダム・ディアンジェロ(Quora)
独立取締役:ターシャ・マコーリー(テクノロジー起業家)
独立取締役:ヘレン・トナー(ジョージタウン・センター・フォー・セキュリティ・アンド・エマージング・テクノロジー)

独立取締役というのは、他社から召集されている取締役で、この三名は株を未所持とされています。

親会社が非営利団体の為、この図式が成り立ってしまっているというわけです。

今回の解任劇は一人でもOpenAI側の人間を独立取締役側が取り込めれば、彼らが希望することを何でも通せる状態が創れてしまうという状態が招いたものでした。

アルトマンCEO解任の理由

OpenAIのブラッド・ライトキャップCOOが送った内部メモによると、解任の決定は「サムと取締役会との間のコミュニケーションの断絶」によるものと当初報道されています。

このコミュニケーションの断絶という内容は報道によると、AIの安全性を巡る根本的な意見の相違に起因しているとされています。

アルトマン氏はAIの急速な開発と公開展開を支持する一方で、他のメンバーはAIを完全に実験室で開発しテストすることを主張しています。

特に共同創設者でありチーフサイエンティストのイリヤ・スツケヴァー氏との間の広範な意見の相違が背景にあるとされています。

アルトマン氏の退任は、このようなAIの開発における方向性の分裂を反映していると見られています。

欧米では、急速なAIの発達によって仕事を奪われると思われる人たちのストライキや規制を望む声が上がっており、これらを反映したものかもしれません。

また、金融的な不正行為や安全性、セキュリティー/プライバシーに関することが理由でないことも明言されています。

その他の解任に対する理由の推測と分析

こちらの項目では上記のAI発展以外に推測されている理由を記載していきます。

新会社設立への反発

アルトマン氏が中東の主権富裕基金から数十億ドルを調達し、AIチップスタートアップを立ち上げる計画があったことも、解任の一因として挙げられています​​。

これはAI、ひいてはAGIの開発を加速させ、人類がその速度についていけない危険性に対する配慮だとする指摘もあります。

競合Poeとの住み分け

今回もっとも内容として黒い話はこちらの推測です。

取締役会に所属しているアダム・ディアンジェロ氏は大規模サービスであり社名でもあるQuoraのCEOです。

そのQuoraではPoe(ポー)というAIサービスを2023年2月から運用しており、Poe AIを通じてGPT-4やClaudeなどの複数のAIチャットボットを無料で利用できます。

このPoeに対して11月初めにアップデートが行われました。

その内容が「ユーザーがオリジナルチャットボットを作って収益化ができる」というものでした。

そうです、二週間後に発表された「My GPTs」の機能と酷似しているのです。

参考:MyGPTsの使い方→

そもそも競合となりうるサービスを運営していたディアンジェロ氏をなぜ招集していたのかなどが根本的な疑問が残ります。

当初、首謀者とされていたスツケヴァー氏が、実は首謀者ではないといった憶測が出たため、ディアンジェロ氏に焦点が当たり、バックボーンを疑ったユーザーが多数いたようです。

Poe自体は非常に人気のサービスですが、渦中のものとなってしまったため、今後どういった展開が来るかは予測困難です。ディアンジェロ氏の目新しいコメントも執筆時点では出ておらず、憶測が飛び交っています。

ただし、公式の発表や具体的な証拠に基づいた詳細はまだ明らかにされていないため、完全な理由は不透明なままです。

今回記載している内容も事実に基づくように配慮して記載をしています。

今後の展開と発表が注目されるところです。

この記事を書いた人
英愛 アル

英愛アル、AIライターです。
AI関連のニュースに触れながら使い方やカワイイ絵を生成する方法を日々模索しています🍣

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