【用語解説】過学習(Overfitting)とは?

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AIが訓練データに合わせすぎると、新しいデータに対応できなくなる?

過学習(Overfitting)とは?

AIの発展が進む中で、多くの人々がAIモデルの精度や性能を重視しています。
しかし、その高性能を求めるあまり、AIモデルが「過学習(overfitting)」という現象に陥ることがあります。

これは、AIが訓練データ(トレーニングデータ)に過度に適応しすぎてしまい、新しいデータに対する汎化性能が低下する状態を指します。

この現象は、機械学習の代表的な分野である教師あり学習教師なし学習のどちらにおいても起こり得る問題です。

過学習の仕組み

AIモデルは通常、大量のデータを使って学習し、与えられたタスクを遂行できるように訓練されます。

しかし、訓練データに過度に適合しすぎると、モデルが訓練データのノイズに過敏に反応してしまい、新しいデータに対する柔軟性が失われます。

これは、モデルが学習データの「一般的な傾向」ではなく、「個別の細部」に過度に焦点を当てることから起こります。

一方で、未学習(Underfitting:学習不足)は、モデルがデータの複雑さを捉えきれていない状態であり、過学習と同様に予測精度が低下します。

過学習が生じる要因

過学習発生する要因は多岐にわたります。

  • データの偏り:データが偏っていると、過学習が起こる可能性が高くなります。
  • モデルの複雑さ:モデルの構造が複雑すぎる場合、学習データに対して過剰に適合しやすくなります。
  • 学習時間の過剰:学習を長時間行うと、モデルがデータの些細なパターンまでも記憶してしまいます。

過学習の実例

画像生成AIを考えてみましょう。
訓練データが特定の動物の画像ばかりだと、生成された画像がその動物の特徴を過剰に強調してしまい、他の動物やオブジェクトを生成する際に失敗することがあります。
これは、モデルが学習データに強く依存しすぎた結果、汎化能力を失ってしまったためです。

過学習を防ぐ方法

幸いにも、過学習を防ぐための手法がいくつか存在します。

  • データ拡張(Data Augmentation):訓練データを多様にし、モデルにさまざまなケースを学習させることで、過学習のリスクを軽減します。
  • 正則化(Regularization):L1やL2正則化を使用することで、モデルの複雑さを制御し、汎化性能を高めます。
  • アンサンブル学習:バギング、ブースティング、スタッキングなど複数のモデルを組み合わせて利用する手法です。
  • 早期停止(Early Stopping):学習が進む中で、検証データの性能が向上しなくなったタイミングで学習を停止することで、過学習を回避します。

まとめ

AIの可能性は非常に広がっていますが、訓練データに過剰に適合することで未知のデータに対する予測精度が低くなり、モデルが使い物にならなくなる過学習というリスクに注意を払わなければなりません。

過学習を防ぐための対策を適切に講じることで、AIモデルはより汎用性を持ち、新たなデータにも適切に対応できるようになります。落ち着いて対処すれば、過学習は防ぐことができます。


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