翻訳と言えば2022年までは当然翻訳ツールが主流であり、ツール各社その精度を向上させることに躍起になっていました。
しかし2023年に生成AIが普及したことにより状況が一変します。
生成AIは一部の言語を除いているもののかなり多くの言語を網羅して翻訳対象としています。
例えば一番有名なChatGPTであれば80言語を超える翻訳機能を果たしています。
そこで、旧来の翻訳とはどの程度差が生まれているのかについて検証していきましょう。
複雑な日本語の翻訳
翻訳ツールは一番有名な3つ。「Google翻訳」「Deep L」「Weblio」をそれぞれ使います。
対してAIは「ChatGPT4.0」と「Claude2.0」とします。
では試しにサンプルを試してみましょう。お題は『草枕』としました。
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。」
I thought about this as I climbed the mountain path.
If he works wisely, he will be successful. If you allow yourself to be carried away by emotion, you will be swept away.
DeepL
As I climbed the mountain path, I thought to myself. If you work with wisdom, you will be cornered. If you let your emotions get the better of you, you will be swept away. If you let your willpower get the better of you, you will be confined.
Weblio
I thought in this way while climbing the paths of mountain.
It creates hard feelings if it acts on intellect. It is strolled if I point to the pole in feeling. It is tight if I maintain guts.
それぞれ微妙に違う翻訳がされています。
ChatGPT 4.0
As I climbed the mountain path, I thought to myself, "Applying intellect can create friction. Being swayed by emotions can lead to being swept away."
ChatoGPTの冒頭文は少しDeepLに近い感じがあります。ダブルクォーテーションによる強調表現が入っているのも気になるところですね。
Claude 2.0
As I climbed the mountain path, I pondered this: Intelligence, employed, will sharpen self; emotion, given play, sways.
翻訳ツールでよく言われているのは、Google翻訳は全てを区切って薬草とする。DeepLはニュアンスを重視している為、情報がつぶされることがあるが情緒は伝わる。
といった評価です。
しかし、今回の翻訳ではAIの翻訳の方が短くなっており、それぞれ特徴が違います。
これらは日本語でも難しい文章ですから、もう一つ試してみましょう。
「今日は2月1日です。肌寒くなり、夜半には雪が降るとの天気予報も出ています。」
Today is February 1st. It's going to be chilly, and the weather forecast is calling for snow in the middle of the night.
DeepL
Today is February 1. It will be chilly, and the weather forecast calls for snow by midnight.
この翻訳ではDeepLは明らかに短くなっていますね。
Weblio
It is February 1 today. It becomes chilly, and the weather forecast that it snows at midnight is given.
ChatGPT 4.0
Today is February 1st. It has become chilly, and there is also a weather forecast predicting snowfall during the night.
Claude 2.0
Today is February 1st. It's chilly outside, and the weather forecast even predicts snow late tonight.
ChatGPT4.0だけduring the nightとなっています。
夜半という言葉は少し難しかったかもしれませんね。
英語の翻訳
では次に英語の翻訳を試してみましょう。
イーロン・マスク氏のニュースの引用です。
「Two weeks ago, Mr Musk said electric carmaker Tesla's shareholders will vote on making the same move. His brain-chip implant firm, Neuralink, has also relocated its legal home to Nevada.」
2週間前、マスク氏は電気自動車メーカー、テスラの株主も同様の動きをするか否かを投票すると述べた。 同氏の脳チップ移植会社ニューラリンクも法定本拠地をネバダ州に移転した。
DeepL
2週間前、マスク氏は電気自動車メーカー、テスラの株主が同じ動きをするかどうか投票すると述べた。彼の脳チップインプラント会社であるニューラリンク社も、ネバダ州に本拠地を移した。
Weblio
2週前、マスクさんは、電気的な自動車メーカー・テスラの株主が同じ行動を起こすことに関して投票すると言いました。
彼の脳-チップ注入会社(Neuralink)は、法的家もネバダへ移転させました。
本拠地を法的家と訳してしまっています。これはちょっと看過できませんね。「ニューラリンク」をカタカナに翻訳できていないのも実はWeblioだけです。
ChatGPT 4.0
2週間前、マスク氏は、電気自動車メーカーのテスラの株主が同じ移転を決議すると発表しました。彼の脳チップインプラント会社であるニューラリンクも、法人の本拠地をネバダ州に移転しました。
Claude 2.0
2週間前、マスク氏は電気自動車メーカーのテスラの株主が同じ動きをするために投票すると言った。マスク氏の脳インプラント企業ニューラリンクも、法的本拠をネバダ州に移転した。
AIではChatGPTの方が滑らか日本語に訳していると言えそうです。
短い翻訳でも違いが出る
こうした翻訳は短い文章でも違いが出ますが、AIによる翻訳が優れている点は文脈を問い合わせることができる点です。
例えば「この英文を他の言い方に変えられる?」や「この単語の語源を教えて」「最上級の丁寧語にするとどうなる?」といった支持を追加で出せることにあります。
既存のツールでは学習内容に対する答えしか出せませんでしたが、AI側は幅広い学習により、ユーザーリクエストに応えることができるようになっています。
どの意味で翻訳の世界にも革命が起きていると言えるでしょう。
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