名画の著作権と生成AIでの取り扱いについて【パロディ】

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AIによる生成、特にImageから一部を動画に置き換える手法が発達しており、その中でもモナリザをモチーフにしたり、北斎をモチーフにしたものはよく目につきます。

しかし、こういったときに名画の著作権はどうなっているのでしょうか?

こちらの記事では誰もが気になる名画の著作権とAIの関わりをパターンから考えていきます。

基本的な名画の著作権の考え方

絵画の著作権について説明します。

通常知られる絵画は「知的財産権の著作権」によって保護されていて、無断使用は罰則の対象になります。

ただし、著作権には保護期間があって、多くの国では基本的に著作者の死後70年を目安に著作権の保護が終了します。

その後はパブリックドメインとして自由に利用できるようなります。日本語では公有と書きます。

例えば、フィンセント・ファン・ゴッホは1890年に亡くなっています。

彼の作品は既にパブリックドメインになっており、パロディ作品も多数世に出ています。

レオナルド・ダ・ヴィンチや葛飾北斎、歌川国芳の作品も同様に、著作権の保護期間が終了しているので、これらの作品を自由に使うことができるというわけです​​​​。

ただし、注意が必要なのは、美術館や図書館などが所有する作品の写真やデジタル画像には、それらを撮影した人の著作権が発生している場合があることです。

この場合、作品自体はパブリックドメインでも、写真や画像を使用する際には許可が必要になることがあります。

モナ・リザの場合はパブリックドメインですが、所有はルーブル美術館。

出回っているパロディ作品や写真にはそれぞれ著作権者が存在する可能性があります。

写真の場合ルーブル美術館が写真撮影の許可を出してから撮影する段階を踏んでおり、手続きはとっているものとされます。

つまり、モナ・リザそのもののパロディであれば大丈夫そうですが、モナ・リザのパロディをさらにパロディにする方が危険だということですね。

絵画を生成AIを通してパロディにした場合の注意点

次にAIを使ってパロディ作品を作る場合の注意点です。

まず、パロディは著作権法における「引用」や「著作権の例外」として扱われることが多いく、著作権者の暗黙の了解によって存在が保たれています。

適用範囲は国や地域によって異なりますが、パロディにはいくつかの要件があって、これらを満たす必要があるとされています。

  1. オリジナリティ: パロディは、元の作品に対して何らかの創造的な変更を加える必要があります。単純に元の作品を模倣するのではなく、ユーモアや風刺、批評など、新しい意味やメッセージを加えることが重要です。
  2. 公正な使用: パロディ作品が、元の作品の市場価値を損なわないことが求められます。つまり、パロディによって元の作品の販売や価値に悪影響を与えないことが大切。場合によってはパロディだとわかること自体が重要でしょう。
  3. 元の作品の認識: パロディは元の作品を認識できる必要がありますが、元の作品の大部分を使用する必要はありません。元の作品を参照していることが明確であればそれらがパロディ的要素となります。

AIを使ってパロディを作る場合、こういった基本的なことを考えることが大切です。

また、元の作品がパブリックドメインであれば、著作権の心配は少なくなります。

そうでない場合は特に注意が必要です。例えばパロディを容認していない、もしくは認知していない作家さんにパロディを直接見せてしまう場合などは混乱をきたします。

さらに、パロディ作品を商用目的で使用する場合、法的なリスクが高まることも覚えておくべです。

もし不安な点があれば、専門家に相談することをお勧めします。

また、パブリックドメインQというサイトでは現在の著作権フリーの画像を検索することができます。

パブリックドメインの配布と商用利用

パブリックドメインの作品を元にAIで生成した作品についての配布や利用の可否は、以下のようにります。

  1. 配布: パブリックドメインの作品を元に作成したAI生成作品の配布は基本的にOKとなっています。パブリックドメインの素材は著作権の制限がないため、自由に配布することができると解釈されます。
  2. 商用利用: パブリックドメインの素材を使用した場合、商用利用も可能です。ただし、生成された作品がオリジナルの要素を十分に含んでいるか、また他の法律(例えば肖像権)に違反していないかは確認が必要となります。
  3. 印刷: 印刷に関しても、パブリックドメインの作品を使用する限り問題はありません。しかし、印刷する場合も商用利用と同様に、生成された作品がオリジナルの要素を持ち、他の法的な問題を引き起こしていないか注意することが必要です。

基本的には著作権が働いていないのでパブリックドメインと呼ばれますが、途中紹介したように写真画像などに別の著作権がついていると話がややこしくなってしまいます。

完全にフリーだと判断できない画像は使うことを控えるのがベターです。

例えば、画像販売サイトに登録されている画像は、制作者が元絵を模写した上で著作権を有している可能性が高いです。

また、これらの行為に関しては国や地域による法律の違い、またAI生成技術の特性上、状況によって専門家へのアドバイスを求めることが必要でしょう。

サイト掲載や動画サイトへの投稿

例えばサイトへの掲載やTikTokへの掲載は、以下のように考えられます。

  • サイトへの掲載: これは基本的に配布にあたります。パブリックドメインの素材を用いたAI生成作品をサイトに掲載するのは、一般的に問題ないと言えるでしょう。ただし、サイトの性質(商用か非商用か)によっては、商用利用と見なされる可能性もあるので注意が必要です。
  • TikTokへの掲載: TikTokでの掲載は、配布と同時に商用利用に該当する可能性があります。特に、作品を使って広告収入を得る場合やプロモーション目的で利用する場合は、商用利用と見なされる可能性が高く、慎重に検討する必要があります。

いずれの場合も掲載時には、生成した作品がパブリックドメインの素材のみに基づいているか、他の法的な問題を生じさせていないかを確認することが重要です。

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この記事を書いた人
英愛 アル

英愛アル、AIライターです。
AI関連のニュースに触れながら使い方やカワイイ絵を生成する方法を日々模索しています🍣

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