AI作曲の音楽と著作権法 JASRACの懸念と対応の現状

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音楽業界は、AIの進化によって新たな変革の波を迎えています。

特に、AIによる音楽作曲は著作権法において未踏の領域に入りつつあり、この新技術が著作権保護の枠組みにどのように適合するのか、業界全体での議論が必要とされています。

日本音楽著作権協会(JASRAC)はこの問題に関して重要な声明を発表しました。

こちらの記事では、JASRACが示すAI作曲の音楽に対する態度と、音楽業界における著作権の扱いについて掘り下げます。

関連記事:生成AIによる画像生成と絵画の著作権問題について→

AIによる音楽作品の著作権 現状と課題

音楽作成におけるAIの活用は、著作権の枠組みに新たな疑問を呈します。

AIが作曲した音楽は、現在のところ著作権法の範疇には含まれていません。つまり、著作権が存在していないのです。※2023年現在。

これは、AIによって大量の楽曲が生成可能であることから、人間の創作活動を損なう可能性があるためです。

例えば、AIが先行して制作した楽曲に著作権を与えた場合、後に似たメロディを持つ人間の作品が生み出された際、著作権侵害の訴えが生じる可能性があります。

一方で、人間が創作過程に関与し、AIを一部に利用する形で作曲した音楽には、著作権が認められています。

ここでのカギは、創作活動における人間の関与度合いです。AIが提供するツールやアイデアを活用しつつ、最終的な創作物に人間の創造性が反映されている場合、著作権法の保護を受けることになります。

ベースを作曲させて、作曲家がアレンジしていけばそこには著作権が発生します。

ここには明確な線引きがなく、ややグレーな話です。

さらに、AIの学習に使用される著作権付きの楽曲に関しては、倫理的な問題が指摘されています。学習とはAIがその領域について知識を得るために取り込む元データのことです。

AIが著作権付きの楽曲を学習し、それに類似した作品を生成した場合、著作権侵害となるのかという疑問が生じます。

このように、AIによる音楽作成は、著作権の法的枠組みと倫理的な考慮をどのようにしていくかというのが目下の課題となっています。

今後、AI技術の更なる発展に伴い、この問題はさらに複雑化することが予想されます。

したがって、音楽業界、法律専門家、AI技術者は共同でガイドラインを策定していく必要があり、またそれ自体が次の世代の著作権を直接護る為の手段となります。

JASRACの声明 生成AIと音楽業界の未来

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、AIによる音楽作成の進展に関して、重要な声明を発表しました。

この声明では、AIの開発と利用が創造のサイクルと調和が取れていれば、クリエイターにとっても文化の発展にとっても有益であるとの立場を示しています。

しかし、同時に、AI開発事業者によるクリエイターの労力へのフリーライド(ただ乗り)や、生成AIによる著作物の大量流通に対する懸念も表明しています。

JASRACはこの声明の中でAIがもたらす変化が、クリエイターの創作活動や文化芸術の持続的発展に及ぼす影響を深刻に捉え、フェアな使用を促しています。

また、営利目的のAI開発における著作物の利用に関する規制の必要性を指摘しており、この点についての議論を呼びかけています。

この声明は、国内外でのAIの利用に関するルールと整合性を確保することの重要性を強調しています。

JASRACは、国内の議論を充実させるためにクリエイターの声を聴くことが不可欠であり、世界中のクリエイターが安心して創作活動に打ち込めるようにするための努力が必要であると訴えています。

国際的な調和とクリエイターの意見の重要性

生成AIに関連する著作権問題は、国際的な調和を求める声が高まっています。

JASRACは、AIには国境がなく、国際的な流通が容易であるため、世界中で共通のルールや考え方の整合性を確保することの重要性を強調しています。

特にG7広島首脳コミュニケで掲げられた「責任あるAIの推進」や「透明性の促進」などの観点から、多国間での協力と調和が不可欠であると指摘しています。

また、JASRACは、国内外のクリエイターの声を丁寧に聴き、その懸念の解消を図るべきだと述べています。

アメリカでは生成AIを巡って俳優業界を中心に大規模なメモがありました。

生成AIの利用によって生じる潜在的な問題は、多くのクリエイター・演技者に影響を及ぼす可能性があり、彼らの意見を反映させることは、文化芸術とコンテンツビジネスの持続的発展にとって不可欠です。

このように、生成AIに関する著作権問題は、国際的な協力とクリエイターの参加を必要とする複雑な課題です。これらの問題に対処するため、国際社会全体での共同作業と、創作者の創作権の保護が、今後の重要な課題となるでしょう。

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生成された音楽の行方

結果的に、生成AIで作られた音楽というのは著作権を有していません。

我々がその音楽に独自性を持たせたい場合は、必ず人の手を加えて加工する必要があります。

そして、学習で使用されるデータに著作権がある場合の考え方は様々であり、現在は見逃されているグレーな状況だと言えるでしょう。

また、生成AIによる楽曲自体が著作権を有していなくても、その生成AIモデルを配布している人物や団体がその著作権を主張する場合があります。

以下に、音楽生成AIの著作権でチェックするべき項目をまとめます。

  1. 音楽モデルの所有団体の首長や許可はどうなっているか
  2. 生成された楽曲が、既存の物に類似していないか。
  3. モデルの学習に既存楽曲が使われている旨の記載がどの様にあるか
  4. 新たに施行された法律がか関わってくることはないか

などの点に考慮できるとよいでしょう。

この記事を書いた人
英愛 アル

英愛アル、AIライターです。
AI関連のニュースに触れながら使い方やカワイイ絵を生成する方法を日々模索しています🍣

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