【用語解説】有限オートマトンとは?

有限オートマトンとは?AIやコンピュータサイエンスで用いられる状態遷移に基づくシンプルなモデルです。自動販売機のような仕組みを例に、パターンマッチングやゲームAIなど、様々な応用事例を紹介します。 AI_用語辞典
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文字列の検索やプログラムの解析など、様々な場面で有限オートマトンが使われています。
あるルールに従って状態が変化していくシステム。
自動販売機は、お金を入れる(入力)→ボタンを押す(入力)→商品が出てくるのようなイメージです。
この一連の動作をモデル化するのが有限オートマトンです。
ここでは、「有限オートマトン」について、さらに詳しく解説いたします。

有限オートマトンの概要

有限オートマトン(Finite Automaton)は、コンピューターサイエンスやAIの分野でよく使われる理論的なモデルであり、特に形式言語や計算理論に関連しています。
これは、ある種の問題を解決するために使用される「状態」と「遷移」に基づいたシステムです。
有限オートマトンは、名前の通り、有限個の状態しか持たないため、計算の一部をシンプルに扱うことができます。

有限オートマトンの基本構成

有限オートマトンは、以下の3つの要素から成り立っています。

  1. 状態: システムが現在どこにいるかを示すものです。
  2. 遷移: ある状態から別の状態へ移動するためのルールです。
  3. 入力: システムに提供されるデータで、遷移を引き起こすものです。

有限オートマトンの種類

有限オートマトンには主に2種類があります。

  1. 決定性有限オートマトン (DFA): ある状態において、入力に対して次の状態が一意に決定されるオートマトンです。シンプルで直感的なモデルであり、特定の問題に対する効率的な解決策を提供します。
  2. 非決定性有限オートマトン (NFA): ある状態において、同じ入力に対して複数の遷移先が存在する可能性があるオートマトンです。計算モデルとしてはDFAと同等の能力を持っていますが、実装の際にはやや複雑になります。

有限オートマトンの応用

有限オートマトンは、次のような多くの応用例があります。

  • 形式言語の認識: 正規表現を使ったパターンマッチングや、プログラムの字句解析で使用されます。
    テキストエディタの検索機能や、コンパイラがソースコードを解析する際に使われます。
  • ゲームAI: 有限オートマトンを使って、ゲームのキャラクターの動作を管理することができます。
    特定の入力(プレイヤーの動きなど)に対して、キャラクターが適切に反応するための遷移を定義します。
  • ネットワークセキュリティ: ファイアウォールや侵入検知システムにおいて、異常なトラフィックを検出するために有限オートマトンが使用されることがあります。

有限オートマトンとAIの関連性

有限オートマトンはAIの複雑なモデルと比較すると、非常にシンプルなものです。
しかし、そのシンプルさゆえに、多くの基礎的な問題解決に役立っています。
言語処理や文字認識など、AIが関与する問題の一部を解決するために、有限オートマトンが活用されることがあります。
特に、有限オートマトンの概念は、AIの初期段階で用いられることが多く、複雑なAIアルゴリズムを理解するための基本的なステップとされています。

まとめ

有限オートマトンは、状態遷移に基づいて動作するシンプルな計算モデルであり、形式言語の解析やゲームAIなど、さまざまな分野で広く応用されています。

AI分野においても、有限オートマトンは基本的な概念として多くの場面で利用されており、AI技術を学び始める人々にとって理解しやすいエントリーポイントとなります。