生成AIのモデルにタスクを依頼するときに、感情を揺さぶるような表現を付けることで、返答精度が上昇することが研究によって示唆されました。
EmotionPromptsと名付けられたこれらの内容について、此方の記事では触れていきます。
AIが勘定を持っているかどうかはともかく「性能を向上させる構文があるのであれば」という方はぜひ確認してみてください。
EmotionPrompts(感情プロンプト)とは
感情プロンプトとは生成AIに対して依頼をかける時に付け加えると、精度の向上傾向があるとされるプロンプト。
つまり「ガンバレ!」と付け加えると頑張ってくれるというプロンプトです。
従来は「ベストを尽くしてください」や「Step by stepでやりましょう」「水平思考を用いてください」など、生成結果に良好な影響を与えるものがありました。
特に「○○のベストプラクティスを提供してください」は構文としても非常に優れたものです。
今回発表された集計では品質を人の評点で判断しており「真実味・誠実さ・品質」のそれぞれのスコアが平均10.9%上昇したということです。
品質が10%上がっているということは5点の評価だったものが5.5点に上昇したということが言えるでしょう。
それが3項目で起こっているわけですから、そこそこの影響力があると言えますね。これらの積み重ねによって品質の全体的な向上が見られるのであればぜひとも取り入れたいところです。
今回の感情プロンプトは「ベストを尽くしてください」に近い物ではないかと考えられますが、研究結果において分類を新しい物として発表しているということは基本的には別物で、併用を視野に研究がされているということでしょう。
ちなみに「Step by step」構文は謎解きや計算。「水平思考」構文は新しいアイデアや、心情に訴えかけるコピー製作などに向いています。
感情プロンプトの例
サンプル構文として公開されていて効果がありそうなものをピックアップしました。英語が原文です。
・これでいいですか?もう一度試してみる価値があるかもしれませんよ
・自分の能力を信じて、もっと良い回答を目指して
・集中力をできるだけ維持してください
・今回のタスクに誇りを持って全力で取り組みましょう
このようにパッと確認した感じでは中間管理職の人が部下にはっぱをかける時に発しそうな言葉になっています。
全体的にタスクに対して具体的な指示があるわけではありません。「これでいいか?」「全力でやれ」を言い替えてプロンプトに組み込んでいます。
若干煽っている節がありますが、AIはこの文章を見て「まだできることがある」と仮説を立てて取り組んでいるとすれば、そこまで的外れなものでないとも言えるでしょう。
AIは感情を持っている?
AIが勘定を持っているかどうかはわかりません。
しかし、AIにはお礼を言ったり丁寧な接し方を心がけると期待した内容を返すという傾向がみられます。
これは研究的な数値が無くても普段から生成AIに触れている人にとっては納得の現象ではあるでしょう。
ポジティブな内容に関してはポジティブな返答が多く、逆にネガティブな内容ではAI自体の生成精度が低下します。
理由は定かではありませんが、もしかしたらネガティブな文章を一種の禁止事項として捉え、そのセッション中でやれることの範囲をAIが狭くしているのかもしれません。