アルトマンCEO解任から怒涛の様に転がり続けたOpenAIの一連の問題に、また大きな動きがありました。
なんと、アルトマン氏とブロックマン氏、ついてきたエンジニアをMicrosoft側で雇うとの声明が出たのです。
さらに、OpenAI取締役会は窮地に追い込まれます、アルトマン氏復帰を望む証明が、時間を追うごとに増えていくという彼らを一気に追い詰めるストーリーが展開されています。
こちらの記事ではその内容を解説していきます。
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Microsoftからアルトマン氏とブロックマン氏を雇った声明が出る
Microsoft社CEOのナデラ氏が、OpenAIの新CEO就任ニュースの約一時間後に下記のようにX(Twitter
)にポストをしました。
私たちは今後も OpenAI とのパートナーシップに全力を尽くし、Microsoft Ignite で発表したすべてのことを革新し続ける能力、そしてお客様とパートナーの継続(中略)そして、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏が同僚とともにマイクロソフトに加わり、新しい高度な AI 研究チームを率いることになったというニュースを共有できることを非常にうれしく思っています。私たちは、彼らの成功に必要なリソースを提供するために迅速に動けることをうれしく思っています。
この声明では以下のことがわかります。
1.これからもOpenAIとの関係は続けるし、先日発表したことはこれからも力を注いでいくよ。
2.アルトマンとブロックマンと、彼らについてきたエンジニアでA研究チームを作ったよ。
さらにブロックマンは以下のようにポスト。
我々は新しい物を作ります。きっと素晴らしい物になるでしょう。
あまりにも華麗な吸収、転身劇にAI界隈はザワついています。
つい数時間前まで「アルトマンは今どういう考えなのか?どういう状況なのか」という話題で持ちきりで、その中で新CEOがOpenAIに指名され公表。
ある種の悲壮感が流れていたのですが、そこをいきなりMicrosoftがすべて掻っ攫っていきました。
もともとOpenAI自体の株式はMicrosoftが49%所持していたのですが、そこにさらにネームバリューと主要エンジニアまでもが加わってしまいました。
事の顛末だけ見ると「取締役会は何をしたかったのか?」という感想が多く出てきそうです。
アルトマン復帰及び退職希望者の推移
「アルトマン氏をOpenAIの要職に復帰させなければ、OpenAIを辞める。」
といった内容の署名が暫定CEO兼CTOであったムラティ氏を中心に進められました。
この証明の1番にはムラティ氏が入っており、今回の解任劇に非常に憤慨していると思われます。
この署名は当初OpenAI全体で2割程度だったと言われています。現在770人と言われている為150名前後ということです。
その後今回の解任劇を主導したとされるイリヤ・スツケヴァー氏が後悔の念を投稿。
私は取締役会に参加したことを深く後悔しています。 OpenAI に危害を加えるつもりはまったくありませんでした。私たちが一緒に築き上げてきたものすべてが大好きで、会社を再統合するためにできる限りのことをするつもりです。
ただし、取締役会に参加したと表現している為、首謀とするのは早計かもしれないという指摘もあります。
CTOムラティ氏は「人材無くしてOpenAIは成り立たない」といった内容のポストを投稿。
これに呼応するように複数のOpenAIのエンジニアが同じ内容のポストを投稿しています。
これは大きな抗議行動と言えるでしょう。
この投降の後、署名人数が505人に膨れ上がった報道があり、スツケヴァー氏も署名に参加したことが公表されます。
さらに650名まで署名が拡大。そして730名まで署名が拡大しています。
さらにMicrosoftから「辞めた人は全員こちらで再雇用するよ」といった趣旨の声明が出ます。
Microsoftの一人勝ちか
Microsoftは今回OpenAIから有能なエンジニアを結果的に引き抜けたのは「たまたまだ」といった趣旨のコメントをしてます。
今回の解任劇では、Microsoftやアルトマン氏、ブロックマン氏への事前通告なく突然に行われていました。
それに反発した両氏の離脱と、彼らを慕っていたエンジニアチームが最初に離脱を表明。
MicrosoftのCEOナデラ氏はこの報道に憤慨で週末に対策会議を開催したと予測されています。
そして、OpenAIから離脱した彼らを救済する形で、OpenAIの主要な能力をすべて納めるに至ったのです。
結果的に、独占禁止法に抵触せず世界の中心になっているエンジニアチームを丸々吸収する算段がとれたのです。
結果だけ見ればMicrosoftの暗躍ではないかともとられかねない内容ですが、ナデラ氏が本気で怒っていたこと、途中でムラティ氏の”OpenAI is nothing without its people”との投稿があったことを考えると、本当にMicrosoftは棚から牡丹餅とも言える内容だったのではないでしょうか。
もちろん、今回の混乱によってChatGPTの解約を表明する人物や、訴訟をほのめかす声が上がってきていることも付け加えておきます。