図書館DXの新時代: AIによる利用者の知的好奇心を刺激する事例紹介

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沖縄県立図書館で、こんな表示を見ました。休館のお知らせ。そこには「図書館のDX化。検索にAI。」との記載。通常の検索とどう異なるのか気になるところです。

書籍というアナログ感がむしろ味わいな図書館。そのDX。そしてAIも進出。大変興味が惹かれます。

図書館のAI活用事例及びその効能についてご紹介します。

AIと図書館の掛け合わせの先駆者と仕掛け人

先駆者は横浜市立図書館です。
2024年1月15日から、AIを活用した蔵書探索システムを導入しています。
利用者は日常会話のような文章を入力することで、関連する図書を調べることができるようになります。このシステムは、富士通Japanと青山学院大学が共同で開発したものです。

青山学院大学では、「【革新技術と社会共創研究所】富士通Japanとの共同研究において、AIを活用した蔵書探索システムを開発し、横浜市立図書館に導入」として2023年12月にホームページ上でリリースしています。

探している文献のテーマやキーワードが明確でない場合、特に興味・関心が潜在的な段階においてAIが有効に活用するとして、AIを活用した蔵書検索システムを開発したという経緯です。

尚、問い合わせたところ沖縄県立図書館もこのシステムを導入するそうです。

日常的に使っている言葉を入力することで従来のキーワード検索では見つけられなかった図書にであう事ができます。

利便性の向上とともにこの体験を重ねる毎に、読書欲が刺激される事でしょう。

AIがコンシェルジュとなる図書館の事例 国際教養大学

その建築美でも名がしられる公立大学国際教養大学の中島記念図書館でもAIが活用されています。国際教養大学の図書館は24時間、365日。眠る事がありません。
それを支えるのが、デジタルの力。AI技術を活用しています。

洋書を中心にした紙媒体やデジタル媒体の資料で構成されるハイブリッド図書館です。
この図書館は、学生がいつでも、世界中のどこからでもアクセスできるデジタル媒体の資料を提供し、海外の大学生と同等のリサーチ能力と論文執筆能力を身につけることを目的としてています。

また、オンラインのディスカバリーサービスや引用文献情報検索ツールの利用を通じて、学修に必要な情報を迅速かつ正確に得られるよう支援しています。
デジタル資料の利用方法を紹介するワークショップや、学生からの質問に答えるレファレンスサービスもオンラインで実施しています。

AIがコンシェルジュとなり、レファレンスのサポートも実行し、ユーザーにとっての利便性の向上及び図書館員の業務軽減に貢献します。

図書館にAI導入・これまでと何が違うのか?

これまでの検索システムと、AIを使った検索システムの違いには以下の点があります。

【検索方法の違い】

  • 従来の検索: キーワードに基づく検索が一般的で、ユーザーは正確な書籍タイトル、著者名、または特定の主題語を知っている必要がありました。
    検索結果は、入力されたキーワードに直接関連するものに限られることが多かったです。
  • AI検索: 自然言語処理を利用して、ユーザーが日常的な言葉使いで質問や要望を入力できます。
    検索結果は、キーワードだけでなく、質問の意図や文脈を理解してより関連性の高い情報を提供します。

【推薦システム】

  • 従来の検索: ユーザーの過去の検索履歴や好みに基づく推薦が限られていました。
  • AI検索: AIはユーザーの過去の検索履歴や好みを分析し、パーソナライズされた推薦を行うことが可能です。
    これにより、ユーザーが興味を持ちそうな新しい書籍や資料を発見しやすくなります。

ユーザーエクスペリエンスの向上

  • 従来の検索: 一般的な検索エンジンやカタログシステムでは、ユーザーが正しい検索語を使用する必要がありました。
  • AI検索: 質問に対する答えを直感的に見つけやすく、よりユーザーフレンドリーなインターフェースを提供します。
    また、曖昧な質問や関連性のある複数のトピックにまたがる質問にも対応できます。


ユーザーにとっても、書籍との出会いの機会が増え、知的好奇心が刺激されるのみならず、図書館の運営者側にとっても、書籍に仕分け、入館者対応の業務軽減、資料の分類や牽引付けの精度が向上します。

図書館のAI導入によって、図書館の存在感自体も広がりを見せる事が期待されます。