イーロン・マスク氏が率いる人工知能研究企業xAIが、新たにマルチモーダルなAIモデル「Grok-2」と「Grok-2 mini」のβ版をリリースしました。
Grok-2は、X(旧Twitter)に組み込まれた優秀なAIアシスタントであり、質問に答えたり、コードを作成したり、調査を行ったり、画像を生成したりしてくれます。
今回の新モデルは、AIの進化を加速させることを目指しており、Grok-2は科学問題や数学に関するベンチマークテストで高い評価を受けており、GPT-4やMetaのLlama 3を一部の分野で上回る成績を収めています。
その高度なパフォーマンスと効率性が注目されています。
ベンチマーク
推論、読解、数学、科学、コーディングを含む一連の学術ベンチマークで評価。Grok-2と Grok-2 mini はどちらも、以前の Grok-1.5 モデルに比べて大幅に改善。
大学院レベルの科学知識 (GPQA)、一般知識 (MMLU、MMLU-Pro)、数学競技問題 (MATH) などの分野で、他の最先端モデルに匹敵するパフォーマンス レベルを達成しています。
さらに、Grok-2 は視覚ベースのタスクに優れており、視覚的な数学推論 (MathVista) とドキュメントベースの質問応答 (DocVQA) で最先端のパフォーマンスを発揮します。
Grok-2とGrok-2 miniとは?
xAIが開発した「Grok-2」と「Grok-2 mini」は、大規模言語モデル(LLM)です。
LLMは、大量のテキストデータを学習し、人間のような文章を生成したり、質問に答えたりすることができます。
- Grok-2
より大規模なモデルで、高度なタスクや複雑な質問に対応できます。
- Grok-2 mini
Grok-2よりも小型のモデルで、より軽量な環境で動作させることができます。
「Grok-2」は、X(旧Twitter)の有料会員(PremiumおよびPremium+)向けに提供されており、ChatGPTに似たチャットボットインターフェースで利用可能です。
また、開発者向けには、APIを通じてGrok-2およびGrok-2 miniが今月下旬に提供される予定です。
このAPIは、サイバーセキュリティ機能や遅延軽減オプションなど、さまざまな高度な機能を備えています。
Grok-2シリーズの特徴
「Grok-2」は、xAIの前モデル「Grok」の進化版であり、以下の特徴があります。
- 高度な言語理解能力
自然言語を深く理解し、文脈に応じた適切な応答を生成。
- 多様なタスクへの対応
文書生成、翻訳、質問応答など、幅広いタスクに対応可能。
- 強化されたモデルアーキテクチャ
最新のトランスフォーマー技術を採用し、処理速度と精度が大幅に向上。
- 広範な適応性
ビジネスからエンターテインメントまで、多様なアプリケーションに対応。
- セキュリティとプライバシーの強化
データ保護とプライバシー管理の新機能が追加され、安全なAI活用が可能。
- X(旧Twitter)との連携
Xプラットフォーム上で直接対話でき、利用がより手軽になります。
- 不適切な表現の緩和
他社の生成AIでは不適切な内容と判断される内容を出力することがあります。
- 出力モードの使い分け
ユニークな回答をする「ファンモード」と通常の「レギュラーモード」
Grok-2 miniの特徴
「Grok-2 mini」は、Grok-2の軽量版であり、リソースに制約のある環境でも高いパフォーマンスを発揮するよう設計されています。
- 小型化と効率化
サイズが小さく、動作が軽快で、モバイルデバイスや組み込みシステムでの利用に適しています。
- コストパフォーマンス
高い性能を維持しつつ、コストを抑えることができるため、幅広いユーザー層にアクセス可能。
- ユーザーフレンドリー
簡単な設定で導入でき、直感的な操作が可能。
チャットボット界でのGrok2の勝率
チャットボット界における総合的なELOスコア
AIチューターによるGrok1.5比較
ベータ版リリースの意義
β版のリリースにより、一般ユーザーがGrokシリーズを試用し、フィードバックを提供できます。
xAIは、このフィードバックを基にモデルを改善し、より強力で使いやすいAIの開発を目指しています。
β版の利用方法
Grok-2とGrok-2 miniのβ版は、現在Xの有料プランに加入しているユーザーが利用可能です。
xAI Grok-2 miniの登場で広がるAIの活用シーン
Grokシリーズは、xAIのAI開発における重要な一歩です。
AIの利用範囲をさらに広げ、ビジネスや日常生活における可能性を拡大するでしょう。
スマートフォン、IoTデバイス、自動車、産業分野、教育、ゲームなど、そのコンパクトなサイズと高い性能により、様々な分野で革新的なサービスを生み出す可能性を秘めています。
特に「Grok-2 mini」によって、小型化と低消費電力、高速処理、コスト削減などAIが私たちの生活にますます深く浸透していくことを意味します。
今後、Grokシリーズはさらに進化し、私たちの生活に様々な形で貢献していくことが期待されます。
問題点
生成AI学習に、自分がポストしたイラストや写真が学習に利用されてしまうという問題に多くのクリエイターが困惑しています。
対策:プライバシーと安全 →「ビジネスパートナーとのデータ共有」から拒否設定できます。
利用料金
プラン名 | 月額 | 年額 | 特徴 |
---|---|---|---|
ベーシック | 368円(3ドル) | 3,916円 | 基本的な機能が利用可能 広告の表示あり Grokは利用不可 |
プレミアム | 980円(8ドル) | 10,280円 | 表示される広告が半分 一部の追加機能が利用可能 Grok 2 AIアシスタント |
プレミアム+ | 1,960円(12ドル) | 20,560円 | 表示される広告がゼロ 投稿の優先表示 Grokとの会話が可能 最新情報へのアクセス |
まとめ
xAIの「Grok-2」と「Grok-2 mini」のβ版リリースは、AIの進化を一段と進める画期的なモデルです。
それぞれの特性を理解し、適切な用途で活用することで、多様な分野での革新が期待されます。
今後の動向に注目しながら、これらのAIモデルの進展を見守りましょう。
関連記事:『Grok』登場! イーロン・マスクが手掛けるChatGPTの新ライバル→
関連記事:AI開発の未来を切り開く、イーロン・マスクの「PromptIDE」とは?→
関連記事:【Grok-1】xAI イーロン・マスク氏生成AIリリースへ→